青少年の薬物・アルコール使用に関する

セミ ナー報告書

                                                                          

岩瀬 功子

 
   6月15日、真壁弘子さんを講師にお招きして、上記のセミナーを開催いたしました。 真壁さんは、メリーランド大学大学院を卒業後、ボルティモア で、薬物依存症の人々を対象とするカウンセリング・センターに勤務していらっしゃいます。 彼女は、薬物依存症を専門とするソーシャル・ワーカーです。  参加者は14名と少なかったのですが、講演後、予定時間をはるかに超える、活発な質疑応答のセッションになりました。 このセミナーには、ことに中学・高 校生の子供をもつ父兄にもっと参加していただきたかったと思いました。 以下はその講演内容の要約です。

 

  

薬物のなかには常習性があり人体に悪影響を与えるために、政府で規制しているCDS(Controlled  Dangerous Substance)と、CDSに含まれない、煙草とアルコール飲料があります。  CDSには5種類あって、研究用にしか使用できない薬物から、処方箋が必要な薬、薬局で普通に買える薬まで含まれています。   煙草・アルコール飲料には、使用規制はありません。 しかし、これらはゲートウェイ・ドラッグ(門口薬物)とよばれ、常習性がある薬物に走る第一歩と なりかねないし、また、長期にわたって常用すれば肺がんやアル中など、人体に影響をあたえるようになります。 煙草やアルコール飲料に対する考えや対応 は、それぞれの国や文化によってずいぶん違います。 アメリカは青少年をこれらの害から守るために、煙草やアルコール飲料の宣伝は規制されていますが、日 本ではアメリカほど厳しくないようです。

 

  

CDSには、マリファナ(大麻)、クラブ・ド ラッグ、処方薬、そしてハード・ドラッグとよばれるコカイン、クラックコカイン、ヘロインがあります。  マリファナは、5ドルか 10ドルで1袋買えるので、青少年には、手に入りやすい薬物です。 ヨーロッパやカナダでは、マリファナの少量の消費に対しては法規制を緩やかにする傾向 がありますが、アメリカでは、研究目的以外には使用できない最も規制された薬物の一つです。 マリファナは常習性が比較的低く、したがって危険性が低いと 思っている人もいるようですが、道端で売られているようなマリファナには、往々にしてコカインなどの危険な薬物を混ぜて売っていることがあります。 ま た、マリファナを吸ってハイになっている時に車を運転すると、スピードを出し過ぎたり、反射神経が鈍っているので事故を起こしやすくなるので、運転経験の あさい青少年にはとても危険なことになります。

 

  クラブ・ドラッグと はレイブ(Rave)と呼ばれる夜通しのパーティーなどでよく使われる薬物の総称、近年、急激に青少年の間に広まってきました。 MDMA(エクスタシー、興奮剤)、GHB(液状エクスタシー、鎮静剤)、ケタミン(スペシャルK、麻酔剤)、ロフィノ−ル (デートレイプ・ドラッグと呼ばれる睡眠剤)、アンフェタミン(中枢神経興奮剤)などが、クラブ・ドラッグに含まれています。 これらの薬物は、比較的最 近使われるようになったため、適当な使い方を教える年上の経験者がいないため、死に至る事故も多く、たいへん危険です。 また、デ−トレイプ・ドラッグは 味も臭いもないので、飲み物のなかに混入されても、気づかずに飲んでしまい意識を失うことがあります。 女性は意識がないうちに暴行されることがあり、充 分に気をつけなければなりません。

 

  ハード・ドラッグの コカイン、クラックコカイン、ヘロインは習慣性と依存性が高く、危険な薬物です。  ヘロインは、最近、静脈注射ではなく煙草のように吸うことも 出来るようになり、青少年の使用が増加しているとのことです。 薬物依存症への道は、興味本位で体験してみたいという、軽い好奇心から始まります。 ほと んどの場合、友達にすすめられて試して見ます。 そして、ハイになる経験をすると、何か気分がすぐれない時に、気晴らしに使ってみようかということになり ます。 ドラッグの売人のなかには、最初は上質の薬物をただでプレゼントして釣ろうとする手口を使う者もいます。 使用量が増えて常習者になりますと、人 間関係や学校の成績に影響が出てきます。 中毒状態になると、心理的欲求だけでなく生理的欲求も強くなりますので、専門家の助けが必要となります。

 

  それでは、どういう 子供が薬物依存症になりやすいのでしょうか? 孤立している子、苛められっ子、そして、薬物を使用している大人のいる家族の子です。 日本から来 た子供達は、言葉のハンディや文化の違いで友達が作りにくく、また苛められたり、仲間はずれにされたりする可能性が高いので、親が充分に注意する必要があ ります。 薬物使用は不良少年だけではなく、成績が良い子供たちも使うので、そういう仲間にいれてもらいたいために、薬物使用を始めることもあるそうで す。  子供が薬物を使っているかどうか、親にはなかなか分からないものです。 警告サインとしては

 

1)   普通よりも開いた、または縮小した瞳孔

2)   急激な体重の減少や生活態度の変化

3) 日常生活の水準の低下(例えば、何日もシャワーを浴びないとか、着 替えをしない等)

4)   躁鬱状態になる

 

等があげられます。 また、マリファナには特有の臭いがありますが、煙草を吸うと臭いが消される ので、臭いだけでは分からない場合があります。 おしゃぶり(エクスタシー使用者は、歯軋りをするので、それを防ぐためにおしゃぶり使う)、ピルケース、 パイプ等が見つかったら、薬物使用の疑いがあります。 急に現金を欲しがるようになるのも、警告サインの一つです。 また、はっきりした証拠がなくても、 おかしいと思う親の直感があたることも多いそうです。

 

  もし自分の子供が薬 物を使っているのを発見したらどうしたらよいでしょうか?   怒鳴ったり叱りつけたりしたくなるのを抑えて、まず状況を把握することです。 興 味本位の軽い使用なのか、常用しているか、濫用しているかによって、学校のカウンセリンググループを利用したり、薬物依存症の知識のある専門家に助けを求 めることが必要です。 家の恥とか世間体が悪いとかいう考えは、一切忘れることです。   予防対策としては、次のようなことが挙げられます。

 

1)   自己評価の低い子供には、その子の良い面を言って励ます。 成績だ けでなく、スポーツや奉仕活動など、子供に自信を持たせられる分野を幅広く探してやる。

2)   友達の影響が強い年頃なので、子供の友達とその家族をよく知るこ と。

3)   家庭内の規則をきちんと守らせること。 規則は一方的に決めない で子供の意見も聞きながら決めるほうが、守る率が高く効果がある。

4)   ティ−ンエィジになると、親と話したがらなくなるので、小さい時か ら子供との対話を持つようにして、子供の行動や考えを知ること。 

5)   子供との対話のなかで、薬物使用の恐ろしさを話し、友達に誘われて も“ノー”と言えるようにする。

 

アメリカの学校では、薬物売買を防 止するために、カフェテリアのランチも現金なしで買えるようにする等、子供に現金を持たせないように考えています。 しかし、現金社会から来ているアジア 系高校生は、かなりの現金を学校に持ってくるので、麻薬売人の標的になりやすいことが指摘されています。 言葉が分からないので、PTAのミーティングに来なかったり、学校からのニュースレターを読まなかったりで、このような情報が伝わっていない親たち もいます。 私立校・公立校を問わず、所得階層を問わず、青少年の薬物使用は広まっている現況です。 

 

薬物使用に関しては“我が子に限って”ということはありません。 

アンテナを立てて情報を集め、警告サインを見逃さないように注意することが大切です。   この 問題に関して、相談なさりたい方は、個人の秘密は厳守しますので、ケアファンド事務所までご連絡ください。 

 

電話:703−256−JACF(5223)

E-Mail:  carefund@jacarefund.org


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