ドクター平賀のクリニック便りから 


第一回 うつ 病


 

 うつ病は意外に多 い疾患で、最近では『心の風邪』と呼ばれています。諸外国の統計では、うつ病患者は4〜10%で、女性の方にやや多い傾向があります。この病気は本人がう つ病と認識しないことが特徴で、諸外国でも7割弱が医療機関を受診しますが、正しい診断の下にうつ病として治療を受ける人は全患者の2割程度になります。 ほとんどの人が身体的な苦痛を訴えて,一般の診療所を受診し、 精神科を受診しないからです。日本でも、一般の診療所を受診する 患者の6%(一説には5〜20%)がうつ病で、坑うつ剤を投与されている人はその6%に過ぎないと言われています。

 
うつ病は脳の機能 にブレーキがかかる状態で、その結果、感情の動き(情動)
,意欲,思考,食欲や性欲(欲動),睡眠などの生体リズム、自律神経などが広範に障害されます。        


情動の障害には、憂うつで気が滅入るという抑うつ気分、自己卑小感、自責感、不安や焦りなどがあり、意欲の障害としては、気力が出ない、やらなければいけ ないと思うが動けないという症状を来します。思考の障害とは、頭の回転が鈍い、決断や判断が出来ないという状態であり、時には、罪業妄想、心気妄想などの 妄想を伴います。 また、早朝覚醒、多夢、熟眠障害などの睡眠障害や、倦怠感、疲労、頭痛、頭重感、めまい、吐き気、口渇、下痢、便秘などの身体症状を伴 うことも特徴です。そのため、うつ病の患者で、めまいや消化器症状、不眠、倦怠感、易労感を主訴として来院されることも多く、このようなケースを仮面うつ 病と呼びます。


うつ病の原因は判っておりません。現在の分子遺伝学の研究から、関連遺伝子の候補はたくさん挙っておりますが、まだ、確定されないのです。そのため、おそ らくいくつかの遺伝子の組み合わせによってうつ病になりやすい素因があらわれ、そこに心身のストレスが作用した時に発病するのだと考えられています。した がって、うつ病の病前性格として、責任感や正義感が強く、几帳面、誠実、熱心、物事にこだわり融通が利かないなどの共通項が認められますが、これらが、う つ病が発症しやすい素因の一表現型だと考えられています。仕事の進み具合が遅くなった、疲労が強い、不眠や早朝覚醒があり、特に午前中のリズムが悪いなど のほかに、これまで述べた症状のある人は、いたずらに自分を叱咤しないで医師の診察を受けることが大切です。


うつ病患者は多くの場合、病識が乏しく、『自分は怠け者で、周囲に迷惑をかけており、申し訳けない』と考えております。実は怠けているのではなく、脳の機 能が低下しているのであり、身体疾患と同じように脳の病気なのです。坑うつ剤と2〜3ケ月の休養によって治る病気なのです。治療は医師に任せて、ゆっくり 休むことが必要です。病気が治るまでは悪あがきをせず、重大な決断は避けなければなりません。

             道玄坂平賀クリニック 平賀 勝利 (医学博士)


  

   

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編集部から 

  うつ病を予防す るには自らの思考パターンを見なおしたり、気分転換をすることが必要でしょう。自分で短所と思っていることでも、発想の転換で長所にもなりうるのです。家 に閉じこもらないで、セミナーなどに参加して、新しい出会いをすること。スポーツやダンス、コーラス、読書会な ど気持ちを発散する機会や場所を見つけましょう。アメリ カにはユースセンター やシニアセンター、さくら協会、いくつかのコーラスサークルなどがあります。ケアファンドでもキルティングや書道教室の会員を募っています。自分が気軽に できるところから、気分転換をしてみてはいかがでしょうか。 Chieko F.
Apr.1, 05 

 

 



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