ドクター平賀のクリニック便りから

 第二回 骨粗(こつそしょう)症 

            

い ささか古い話 になるが、人類が最初に月面に立ったとき「人は足から衰える」という諺が実感をもって再認識された。たとえ重い宇宙服を着ていたとしても、日常的に厳 しい トレーニングを積んだ飛行士達が、赤児のようなもどかしい歩行しか出来なかったからだ。彼等は月に到達 するまで狭いスペースの中であまり動かずに過ごしたため、この間に運動能力が予想以上に退化したのであり、バランス感 覚や筋力の低下だけでなく、直立 歩行 を支える多くの力が弱くなったのである。


人の体は刻々と変化する。細胞はつねに破壊新生を繰り返すが、骨も例外ではない。骨は 主 に臥床時に破壊され、その際骨の中のカルシウムが血中に放出される。長期に臥床すると、血中のカルシウム量が増加するのに伴い尿中に排出される量 も増える ため、脳梗塞などで寝たきりになると、腎結石や尿管結石を起こし易くなり、時には腎臓内の結石が増大し大きな珊瑚状の結石を作ることもある。


このようにして骨の密度が低下 した状態を骨粗鬆症と呼ぶ。長期臥床のほかに、骨の粗鬆化が進む因子として見逃せないものが出産と閉経による女性ホルモンの変化であり、特に閉経後の女性の骨粗鬆症は大きな課題であ る。


骨粗鬆症では、推 体が縮少したり、圧迫骨折による変形短縮がおこる。一つの推体が破壊されると、二年ほどの間に複数の推体が骨折をおこすというデータがあり、同一個体で骨折が繰り返される。加 齢によって人の体が縮んだり背が丸くなるというのはこのためだ。



現在、骨粗鬆症の 判定には、主に脊椎を用いて骨塩量を測定し、必要があれば投薬を行う。近年骨粗鬆 症に対する薬剤が次々に開発されているが、これはあくまでも代謝異常があったり、骨粗鬆症になっ た人に効果のある薬剤で、予防的に使用するものではない。

 
そ れでは骨の粗鬆化を防ぐには何が必要なのだろうか。骨の増生は、圧迫つまり負荷によって促進される。したがって荷重をかける運動が骨粗鬆症の予防対策となる。腹筋や背筋をきたえること、また脚 力をつけることが大切なのだ。



お勧めの体操は、片足立ちとスクワット
。片足立ちはともかく一 分間、スクワットは膝に負担をかけないように、90°から 130°の角度で繰り返す事が要点であり、イスにお尻がつく程度まで曲げ、膝は完全には伸ばさない。これを30回繰り返せば充分である。この運動を早速実 行し、ご両親などにも勧めていただきたい。

                  
             道玄坂平賀クリニック  医学博士 平賀 勝利




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編集部から


骨粗鬆症(osteoporosis)は2005年3月のケアファンド主催、エイミー・ノブ医師のセミナーでも 取り上げ られましたので,まだ記憶に新しいかと思います。


検査について

閉経後の女性、高齢者、ステロイド系の薬を長く服用している方は一度、骨密度検査を受 け てみてはいかがでしょう。アメリカでは時折、大手スーパーの薬局で簡易検査を実施しています。PQCT法(
Peripheral Quantitative Computed Topography)など手首や足首など抹消の骨にX線を照射して骨量を測定します。又、医師の紹介 で、 (医療保険が必要ですが)精密な検査を受けることもできます。DEXA法(DXA
法)(
Dual-energy X-ray Absorptiometry)では二種類のX線 を背骨や大腿骨に照射して骨量を測定します。

薬について

不運にも骨粗鬆症と診断されたら、医師の処方箋がなければ買えま せんが、例えばFOSAMAXを一週間に一度、同じ曜日、同じ時間、空腹時にコップ1杯の水で服用することが勧められます。この薬は服用後は最低30分 間は横になったり、物を食べた り飲んだりしないようにします。他の薬を同時に服用してはいけ ません。消化器系に負担がかかる人もいますから、必要に応じて 必ず医師に相談して服用することが重要です。

転倒防止について
高齢者の負傷の原因 は日本の例ですが、東京消防庁(平成15年)の調べによると76.8%が転倒、8.6%が転落で、傷病名は打撲,血腫が44.3%、骨折が26.5でした。事故発生場所は、住み慣れた住居での事故が多く55.4%ということ には驚きます。加齢や病気などにより筋肉の力が衰えますと、ちょっとしたものに躓いて転びます。階段を踏み外したり、ソファーから立ち上がろうとして よろめき転倒する等など。電気コードや床に放りっぱなしの幼児のおもちゃ、新聞雑誌など転ぶ原因になるものは片付けて、整理整頓された環境で生活 をしましょう。そして、Dr.平賀のお勧め体操を習慣づけて健康で快適な生活を し ましょ う。  


(編集部からの内容は、NHK出版、きょうの健康2005年2月号を参考にしました。また、薬の記載に関しましては、
Care Fundは一切責任を 負う事が出来ませんのでご了承下さい)Chieko F.

 

 


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