Dr.平賀のクリニック便り

 

 

             第八回  免 疫

 

免疫は医学用語ですが、一般にも馴染み深く、「彼は純粋培養で免疫がない」とか、「感染を防ぐものは良い免疫、アレルギーや自己免疫疾患は悪い免疫」などと呼ぶのを耳にします。

これらの、一般に通用している認識は本来の免疫とは大いに違います。

ジェンナーが種痘を始めたのは200年前のことです。乳搾りの女達に「あばた」が多く、しかも、天然痘にかからないという事実から、牛痘にかかれば、天然痘に罹患しても軽くすむことをみつけたのです。ジェンナーは、後に近所の少年ジェームズ・ヒップスに種痘を行い、ヒトに免疫があることを証明しました。

 

私達の体は外部から侵入したウイルスや細菌を攻撃し排除します。このシステムが免疫です。私達の体は常にウイルスや細菌、寄生虫などにさらされており、これらは外界と接触する傷口、口や気道、腸の粘膜から浸入するだけでなく、ガン化した細胞のように内在するものもあります。免疫とはこれらの、自己でないものを排除するシステムです。

生体は個体維持のため、常に自己と非自己を区別し、非自己を排除しようとしています。臓器移植が難しいのも、この働きのためです。つまり、免疫機構は自己とは反応せず、非自己とだけ反応し、排除するシステムなのです。

この働きはリンパ球の免疫細胞が担っていますが、おのおのの免疫細胞は特異的な働きを持ち、特異な抗原としか反応しません。つまり、あるタイプのインフルエンザに対する抗体があっても、別のタイプのインフルエンザには反応しないのです。したがって、生体は多様な非自己と反応する免疫細胞を常に用意しなければなりません。私達の体には、この非自己に対応する免疫細胞が1兆種類用意されており、いつでも対応できる仕組みになっています。

 

非自己には反応して、自己には反応しないということが、どうして可能なのでしょうか。

免疫細胞を構成するのはリンパ球で、骨髄で作られます。このとき、おびただしい免疫細胞群が用意されますが、95%が胸腺で殺されます。ここで、自己に反応する免疫細胞が消去されるのだと考えられています。その結果、免疫反応は胸腺が「自己ではない」と認知したものだけが、非自己として排除され、自己とは反応しないのです。

この、「自己には反応しない」ということを、免疫学的寛容と呼びます。これがなければ、免疫機構は自己を攻撃しますし、寛容の度合いが過ぎればウイルスとも共存します。

 

本来は消去されるべき、自己と反応する免疫細胞が残存し、自己を攻撃するのが自己免疫疾患です。また、臓器移植の際に免疫を抑制しますと、ある時点では、非自己である臓器を自己と認識します。これが、免疫の仕組みなのです。20世紀後半の免疫学の進歩は目覚しく、今後も大きな期待がもたれます。

     
道玄坂平賀クリニック 医学博士   平賀 勝利

 

 

 

 

編集部から

 

私達の体には自己を守ろうとする免疫力があり、ストレスなどで、免疫力が低下した時、病気を引き起こすようです。では、免疫力低下を防ぐにはどのような生活が望ましいでしょうか?  @100%の完璧主義をやめ、80%程度を良しとすべし。A涙が出るほどおおいに笑い、副交感神経を刺激すべし。 B食事を抜いたりせず、玄米やきのこ類、海藻類などを積極的に食すべし。C血行をよくするために、適度な運動や心臓に負担のかからない、半身浴をすべし。Chieko F.

 

 

 

 

 

 

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